わしの喋りが一番冴えるのは、酒飲みながら、秘書と
話している時だ。
秘書みなぼんは泉美さんよりもっとケラケラよく笑う
から、調子に乗って暴言だらけになる。
そのお喋りの中には哲学的な話もあるが、秘書はよく
理解してくれる。
秘書は自分のことを全く喋らない得体のしれない奴で、
今でも何を考えているか分からないのだが、わしの
思想的な考えや作品は、よく理解してくれている。
けれども、自分本位で、わしのことを置き去りにして
とっとと先に歩いて行ったりする。
そしてわしは迷子になって途方に暮れる。
美味いモノ食ったら、とっとと帰りたがる。
無意味に散歩したり、カラオケしたり、意味のない時間
を過ごすなら、1人になりたい人間だ。
ある意味、超個人主義で、超オタクなのだ。
介護には向いていない。寝たきりになったら、わしは
うっかり放置されて、すぐ死ねるだろう。
わしほどめんどくさい奴はいないので、残念ながら
わしの面倒は妻しか見れないのが不安だ。
本音はあと2人、愛のある介護ができる女が欲しい。